ESSAYS IN IDLENESS

 

 

SANTA BARBARA 20191120

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なぜかこの日の日記は手元に残っていなかった。何をしたのか一つ一つ書きながら思い出していこうと思う。

朝に有名なアイスヨーグルト屋に行き朝食を取る。確かに評価が高いだけあって、間違いなくこの旅で食べたものの中で上位に入る美味しさだった。店内には歴代の大統領数名のサインがあったけれど、それもなんとなく頷けるが公務を優先してほしいと思う。

『20 century women』のロケ地となったビーチや、街中の小さな川を見に行ったりしているうちに時間は過ぎる。そう、この日なぜメモを書いていないのかを思い出した。この日は街中の薬局で親知らずの痛み止めを探していた。サンタバーバラのウォルグリーンズに行ってヤバそうな痛み止めを買ってその場で飲み、間食となるお菓子を探したり、苦難の道のりだったことを書きながら思い出した。だから、噛まずに飲めるアイスヨーグルトを朝食にチョイスしたんだった!!いかに歯が痛いと言えども、西海岸のビーチの美しさは格別だった。相変わらず静かで人がいなくて、黄金色に輝いている。このあたりの人にとっては何ということのない当たり前の景色がこうも美しいのだから、どこを撮っても映画になるわけだろうなぁと安易に考えてしまう。

昨日来た道を戻りLAに向かう途中、ひとまずこの旅二度目のIN-N-OUT BURGERへと向かう。本当はダブルダブルを頼みたかったけれど、あまりに肉厚過ぎて食べれないのでチーズバーガーを初めて頼んだ。結局のところこの店で出てくるものは全部うまい。同行した浅倉は4×4を頼んで無心で頬張っていた。

道すがらアーバンアウトフィッターズで買い物をして、ターゲットで買い物をした。そのままLAの夜の大渋滞に巻き込まれてモーテルについた頃には既に夜になっていた。モーテル近くのインド料理屋に行ってカレーの辛口を頼んだら信じられないくらい辛いし、米は1.5合分くらい出てくるし、思わず死を覚悟した。薄暗く広い店内には我々しかいなかったので、ウェイターはしきりに水を運んできてくれたのだがそれがほんとうにありがたかった。カレーとの激闘の最中に水を2リットルは飲んだだろう。少なくとも、胃が弱って親知らずが痛む人間が頼む味でも量でもまったくなかった。カレー自体は美味しかったが、その代償は大きかった。今晩、ないしは朝方に確実にトイレに篭るであろうことは容易に想像できた。間違いなくこの旅で一番つらい体験だったと思う。そしてこの日の手記がなかった理由はこのカレーに胃腸を破壊されて死んでいたからだ。前回の全米をめぐる旅の中でさえ一度も欠かしたことがなかった僕の習慣を破壊したのは無慈悲なインドカレーだった。

カレーを食べたあとに近くのサグいコインランドリーで洗濯をしたような気がする。ガランとした店内には誰もいなくて無機質な洗濯機がずらりと並んでいる。いかにもアメリカというサイズのランドリーカートを無駄に使ってみたり、全部の洗濯機の蓋を開けたり閉じたりしながらふざけてみたりしたっけなぁ。10代の心を備えた30過ぎのジジイが何してんだよ、っていう気もするのだけれど誰も見ていなければいいじゃないか、何をしたって。

hiroshi ujiietrip