ESSAYS IN IDLENESS

 

 

BEND 20191125

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朝起きると部屋の空気が少し冷たい。外に出てすーっと心地のよいひんやりした空気を吸うと頭の中がスッキリして目が覚める。ブレックファストのプレートを頼むと、例によってイギーが足元にすり寄ってきて物欲しそうな顔でこちらを見てくる。今日はベンドの街に行くので彼に長いことかまってやれないのは心苦しかったが、少し早めにロッジを出ることにした。行く途中に休憩がてらにスリフトに寄って、いい感じのスウェットや小物を買った。山道から街の方に下っていくと、少しずつ景色が開けてくるのが面白い。片側一車線の道ではあるが、軽く100キロは超えるスピードで走っていくのであっという間に景色が切り替わっていく。

ベンドの街は僕が前回の旅の最後のほうに立ち寄った街なので比較的記憶に新しい。昔猫がいたレコード屋に行ってみると、もうそこには彼の姿はなかった。品物を長い時間かけて選んだあと、商品を手にカウンターへと近づく。「2年くらい前にここに来たときにいた、あの猫はどこにいったの?」と店員に聞いてみると「ああ、彼は実は1年くらい前に亡くなったんだよ、彼のことを覚えていてくれてありがとう。彼は20年も生きたんだよ。」と彼は言った。前回訪れたときにはかなり元気だったし、毛もふさふさしていたのでてっきり若い猫かと思っていた。この数年で変わってしまった、小さいけれど大きなこと。僕はベルベッツの2枚組のカセットを買って、その店の主人に挨拶をして店を出た。その他にも、小さなお土産屋さんを回ったり、別のレコード屋に行ったりしているうちに時間が過ぎていく。あまり暗くなると山道の運転も危ないので、帰りしなに大きめのモールによる時間を残して早めにベンドの街を出ることにした。昔行ったあのスケートパークでは、まだちびっこがキックボードでブイブイいわしているのかもしれない。もう少し時間があれば、またあの場所を訪れてみたかった。

山のほうに戻ると積雪が割と深刻になってきていた。少し道を間違えて轍のない道に入ろうものなら、車がスリップして危なく事故を起こしそうになるし、実際タイヤが滑りまくって危なかった。アラスカでどこかのおっさんに学んだ運転技術「とにかくブレーキを踏み込まないことと、ハンドルを切らないこと」が、とても役に立った。明日のポートランドへの帰路はかなり危ないだろうなぁ、、、と夜のうちからだいぶビビっていたが、美味しいスープを飲んだら割とどうでも良くなったので早く寝ることにした。

hiroshi ujiietrip