ESSAYS IN IDLENESS

 

 

LOS ANGELES 20191117

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朝起きてとりあえずテレビを付ける。アメリカのテレビはやたらとCMばかりやっている。古い映画やドラマもやっているし、カレッジバスケのチャンネルはどのモーテルでもやっている。日本ではあまり話題になっていないが(僕もほとんど見たことはなかったが)、『The Office』がやっているチャンネルを眺めながら朝の支度をした。ドワイトが「Good Morning Vietnam!」と叫んでいたのを見て爆笑して、その日が始まった。

LAの東方、グレンデールの市街へ行く。ひと目見てわかったがここは文化度の高い洗練されたエリアだった。渋いおっさんがカウンターに鎮座した良質なアートブックストアで写真集や図録を眺め、中古レコード屋ではカセットテープを漁った。どちらの店も整頓された美しい店内に静かな雰囲気が流れ。スリフトを巡ったり、アート書籍とミッドセンチュリーの家具が並ぶヒップなフォーを食べたりして時間を潰した。

グリフィス天文台に行くしかないだろう、ということで(なんでそんなことになったのか)特に聞きたくもなかったが、『LA LA LAND』のサントラを聞きながら現地に向かう。食い気味のパーカッションに否応なしにテンションがあげられてしまい恥ずかしい。天文台は山の上にあり、とにかくめちゃくちゃ暑い。人が多くて駐車場が見つからず、ようやく見つけた隙間のスポットは天文台まで1km弱もありそうな場所だった。空気はカラカラに乾いていて、まるで夏のような気候。汗だくになりながら天文台まで歩いた。天文台の屋上からの眺めは壮観でハリウッドの街が一望できる。高いビル群が街の中央に固まっていて、あの街の喧騒が遠くに聞こえるような気がした。屋上では風が気持ちよくて、人が多いにも関わらずとても静かに思えた。確かに、デートでここに来るというのはありなんじゃないかと思う。ここでどんな映画がやられていたかなんてどうでも良くて、ただただ風が気持が良かった。ハリウッドサインからも近いので、それを背景にセルフィーを撮る若者や家族連れなどがたくさんいた。

そのあと、モーテルへとチェックインをした。かなり立地が良くてハリウッドのスタジオのあるディストリクトの近くにあった。無骨な壁にカラフルに色が塗られていて、空の色とのコントラストや斜めにスパッと入る影とのコントラストが美しいデザインのように見える。道を一本挟むと路上生活者の人たちがたくさんいて、駐車場の喫煙所でタバコを吸っているととなりのおじさんと目があうような気がした。

やることもないので、モーテルの近くのフェアファクスの高校のフリーマーケットに駆け込み、何着か服を買う。ゴードンと刺繍の入ったTシャツを買ったら店主に「俺と同じ名前なんだ!」といって話しかけられた。古着屋にいったり、『Pink Hotdog』という名前の老舗のホットドッグ屋にいってみたり、LAの若者らしい時間を過ごした。

深夜に近くにあるサグいタコスを食べに行く。出来上がりを待つおじさんがマリファナを吸うものだからその匂いがあたりに充満している。地元っぽい人たちが次々と来ては注文をする。そのおこぼれに与ろうとホームレスのおばちゃんもやってくる。我々も意気込んで注文するが、ここで大きな失敗をしてしまった。タコスはトルティーヤが別売りだったらしく、パックに詰められているのはタコスの具材のみ。「まじかよ、、、」と落胆にくれつつも、恥ずかしさに飲まれないように急いで大量の肉と何かしらのペーストを掻き込んで店を出た。こんな屈辱的な思いは初めてだった。ちなみにタコス自体はめちゃくちゃ美味かった。

その後、悔しい気持ちを晴らすためにヤムヤムドーナツへいきドーナツを数個買って帰る。ここもまぁサグい雰囲気で、ヤバそうな雰囲気がプンプンした。英語が怪しいヒスパニックっぽい店員に対して注文をすることになるが、しっかりとコミュニケーションを取れているか不安になる。浅倉がラテを頼んだら「フレーバーを入れるか?」と聞かれてので「はい」と答えると、プッシュ数にして10回くらい、おおよそ適量とされる量の7-8倍くらいのシロップをぶち込まれてしまっていた。ここで彼に対して「もういいです」というのは野暮だったのだろか?そもそも「ストップ!」というシステムだったのかわからないが一生懸命にヘーゼルナッツのシロップをプッシュする彼は面白かった。

激甘のラテに僕の買ったコーヒーを足してあげて、ドーナツを食べながらタバコを吸う。LAの夜は東京の夜よりも遥かに静かだなと思う。明日はついにシャトーマーモントにいくので、ジャケットとパンツにアイロンをかけた。

hiroshi ujiietrip