ESSAYS IN IDLENESS

 

 

Yamanaka Lake

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数年ぶり、本当に5~6年ぶりだろうか。むかし職場で一緒だった人から急にメッセージが来た。

「今週、空いていますか?山中湖にある友達の別荘に行きませんか?」

そんなことを言われたら、行かないわけには行かないだろう。レコードを数枚、カセットテープを2本。本を2冊かばんに入れて、旅の準備を終わらせた。金曜の夜に出発し、車で2時間。本当に山中湖畔にある素敵な別荘にたどり着いた。昭和の素敵な洋館といった佇まいで、文化を感じる素敵な場所だった。カリモクの家具や、壁にかけられた絵画。立派なソファやその脇に置かれたスタンドライト。レコードプレイヤーやカセットプレイヤーから鳴り響く音は高い天井に突き抜けるように響き、音楽がいつもの何倍も(誇張でなく)良く聞こえた。

天気の崩れが懸念されたけれど翌朝は晴れ、あまりの気持ちの良さに数年ぶりにすっきりと目覚められた気がする。空気が澄んでいて気持ちがいい。暑くもなく寒くもない山の秋の気候だった。朝ご飯に近所の素敵なカフェでビュッフェを食べ、湖畔を歩いて別荘に戻るのが本当に気持ちが良かった。

夕方には別働隊の友達(僕は彼らのことをほとんど知らなかったが)と合流し、温泉へと向かう。サウナにマッサージチェア、目の前には湖が広がる素晴らしい露天風呂。なにも文句はない完璧な時間。そこから買い出した食料を持ち寄っての庭先でのBBQ。これほど高い民度、高いクオリティの暮らしがこの世に存在していたのだろうかと思う。馬刺しや牛たんなど、おいしい食事をたんまり食べたあとにデッキでコーヒーを飲みながらみんなと話す。こういう場所が好きな人に悪い人はいないのだろう、すぐに打ち解けられて良かったと思う。ノリノリのDJで流れる昭和歌謡やその時代の日本の音楽の良さに改めて関心しながら、みんなで「いとしのエリー」を歌った。おそらく日本の音楽にそれほど惹かれなかったのはきっとしょぼい音響設備で聞いていたせいなのではないかと思った。

自分にしてはかなり冒険して参加した旅行だった。初めての場所。初めて合う人達。そして初めて聞くたくさんの音楽。そのどれも刺激的で素晴らしい経験になった。とにかく悲しいのは、この素敵な場所が来年にはなくなってしまうということだけだ。いつか自分も、もう少し暮らしに余裕ができたならこうした場所に友達と憩える場所を持ちたいものだと思う。

hiroshi ujiietravel