FOREVER HEROES
自分の最寄り駅でこんなに酷い事件が起きるとは思わなかった。ムスリムヘイト兼ネオナチというとんでもない輩によって3人の男性が刺され、そのうち2人が亡くなった。彼らが刺された理由は、電車に乗っていたムスリム系の少女2人を守るためだった。旅行から帰った後、事件の起きたハリウッド駅へ向かってみる。すると駅の至る所に花や風船、メッセージやろうそくが灯され、壁や地面には数え切れないほどのたくさんのメッセージが書かれていた。最寄りのスーパーでは献花のために花が安く売られていた。その中の一本の花を手に取り階段の脇に添える。事件から一週間たった今でも駅にはたくさんの人が今でも訪れ、書かれたメッセージを読んだり花を添えたりしていた。「あなた達のことは絶対に忘れない」「安らかにお眠りください」「勇敢な英雄はここに眠る」「愛は憎悪に勝る」。悲しいことは、こうした言葉が自分に対して虚しく響くことだ。自分がこの悪意に対してできることは何もなくて、それに立ち向かうこともできない。悪意が人々の善意や正義をなぎ倒して、血を流させて、命が失われていくのをただ眺めるしかない。アメリカの中でもリベラルで、平和で、差别も少なくて、安全と言われるこの町でさえこうした悪意や危険と隣合わせなのだと気づく。いつその切っ先や銃弾が自分の身体を通過するともわからない恐怖を感じるけれど、それもすぐに忘れてしまうのだろう。今こうしてカフェで文章を書いてる間にも、隣に座っている男の人は自分の持つ重火器の素晴らしさを説いている。自分がもし似たような事件に遭遇したとしたら、銃を持つことを考えるのだろうか?