SABUROS SUSHI
ポートランド美術館にThe Communeを見に行く。 雨の日だというのに、入場まで雨の降る屋外で並んで待たなければいけなかった。 僕が半分曇った表情で並んでいると、後ろから背の高い初老の優しそうなおじさんが話しかけてきた。
「はじめまして、あなたはこの映画祭で何本映画をみたんだい?」
「えーっと、たぶん5-6本くらい見てると思います」
「それはすごい!僕はこの映画をみるためにワシントンから来たんだよ。僕はデンマーク人だから字幕無しで見られる映画が見たくって」
そんな話を少しした後に、館内に入って席につく。そのおじさんとも席が近かったらしく、手招きしてくれたので隣に座ることにした。 映画が始まるまでの20-30分ほどの間、自分やおじさんの身の上話をしていた。 わかったこととしては、この人は元パイロットで56歳、デンマーク生まれでアメリカ国内を転々としながら暮らしてきたということだった。
「君の国の食事は本当に素晴らしいね。たぶん世界で一番美味しいものが食べられる国だよ」
「みんな日本のことを好意的に話してくれて、とてもうれしくなります。ありがとうございます」
勝手に日本国民を代表してお礼をしてしまったなと、なんだか恥ずかしくなる。
「お腹が減ってしまいました、もしよければ日本料理屋にでも行きませんか?」
ということで、なぜかそのまま日本料理屋に行くことになった。 その時は見知らぬ人との出会いで、なぜか話が盛り上がったことがうれしくて二つ返事で「行きます」と答えた。 よくよく考えると、場合によってはかなり危ない決断だったように思うけれども無事に帰ってこれてよかったと思う。寿司屋の中ではさっきみた映画の感想を2人で話しながら、そして僕の拙い英語を我慢強く聴いてもらいながら楽しく寿司を食べた。更にいえば、送り迎えをしてもらっただけでなく、寿司まで奢ってもらい、至れり尽くせりの一日。 友達と言っていい年齢差なのかどうかはわからないけれど、とにかく友達が一人できた。 なんだかかけがえのない出会いがゴロゴロ転がっていすぎて、逆に不安になる。 そのデンマーク人、スティーブは酒を飲んだその足でワシントン州へ帰っていった。