ESSAYS IN IDLENESS

 

 

12/28 MISSED TRAIN

今日もサンディエゴにとどまる。ラ・ホーヤへ向かう(La Jolla)。
高級住宅地といった佇まいの町並みから、潮の匂いがする。日差しが暖かくてまるで夏のよう、Tシャツの人も大勢目につく。海沿いまで出ると目の前には水平線がどこまでも広がり、サーフィンやヨットをする人たちが見えた。かもめやペリカン、鼻水を垂らしたアシカの群れがが岩場で日光浴をしているのをのんびり眺める。身動き一つせず昼間から寝ているアシカを見ていると、サンディエゴはとてもいい街だけど、ここにいたらダメになってしまうだろうなと思った。

近くのお店で白身魚のタコスを食べて、別の海へ。ミッションビーチはこれまでの海と同じように、広くて綺麗だった。白い砂や、海に光が反射してあたり一面がキラキラと輝く。その中で人々が思い思いにそれぞれの時間を過ごしていた。サッカーやバーベキュー、おしゃべり、海水浴。ふと見渡すと白人の女の子の細くて長い金髪が風にたなびくのが見えた。こういう風景が見たかったんだよなと改めて実感する。
空が夕焼けに染まる。驚くべきことに、オレンジではなくて綺麗なピンク色に空が染まっていった。こんなに鮮やかな夕焼けはこれまでの人生で見たことがなかった。写真では再現ができないけれど、白い砂浜に薄いピンク色の空が死ぬほど綺麗だった。その時間がもっと長く続いてくれればと思いながら、空と海がオレンジ色にかわる。だんだん空の色に合わせて、海の色も暗く沈んでいった。

その後、また何度もバスを乗り間違えながらダウンタウンへと向かう。ここで、自分がアムトラックの時間を盛大に、完璧に間違えていたことに気付いた。僕が乗るべきアムトラックは15:50発。でも今の時間は20:30。アムトラックはとうの昔に僕をおいてサンフランシスコへ旅立っていた。何を悠長に夕日について思いを巡らせたり、金髪に見とれていたのかと自分を叱りたくなる。ただ、何かしらは起きるだろうと思っていたので、大して驚きもせず、ひとまず近くのトラットリアに入りカルツォーネを注文。店内のテレビに流れるNBAを見ながらゆっくりと次にどうすればいいかを考えた。

チケットの交換のためユニオンステーションへ向かうと、すぐに翌日の別の電車を手配してくれ(無料で!)、「よくあることだよ」と励まされる。その日は別のホテルを取ったので、追加でもう一泊サンディエゴに留まることになった。

それにしても、自分の肝が太くなったのか、平和ボケをしているだけなのか。仕事をしていたころの張り詰めた緊張感が自分からなくなっていっているのかもしれないとどこかで危なさを感じた。

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