ESSAYS IN IDLENESS

 

 

12/25 SANTA MONICA

LA三日目の朝。狭いベッドで目が覚める。
今日の予定はビーチに行くことだ。誰でも知っていると思うけれど、ロード・オブ・ドッグタウンに出てきたあの海だ。できればイームズファンデーションにも寄りたいけど、クリスマスのせいで休館だった。

ホテルからビーチまで90分近く、今日も長い道のりだなと思いバスに乗る。ろくにピントの合わないカメラを一応首にぶら下げていると、「そのレンズどこの?」と話しかけてきたインド人のお兄さんがいた。

「あぁ、これは一応カールツァイスの、、」
「君はフォトグラファーなの?」
「いやいや、ただの趣味ですよ。お兄さんは?」
「これが僕のカメラ。日本製のカメラはいいね」

同じ趣味を持つ者同士、話は尽きない。僕のでたらめな英語を辛抱強く聞いてもらいながら話は進んでいく。

「君の好きな写真家って誰なの?」
「僕はニューカラーの写真家が好きです、例えばショアーやエグルストンのような」
「どんな写真を撮っているの、、ああ、なるほどね。これアリゾナじゃない??」
「どうして分かるんですか?!」
「どうしてって(笑)僕の生まれ育ったアリゾナにいったら、こんな景色そこらじゅうに転がってるからね」

こんな具合で話は続いた。お兄さんの撮った写真を見せてもらったり、インドには若いうちに行くべきだと言われたり。気づくともうバスは目的地についていて、簡単に別れの挨拶をしてバスを降りた。そういえば名前をきくのを忘れていた。

クリスマスのベニスビーチは、まるで冬の海じゃないみたいに明るくて綺麗だった。ゴミも全く落ちていなくて、砂の粒も白くてサラサラして気持ちがいい。ビーチバレーに興じる人や、ただゆったりしている人、犬の散歩をしている人や、ピクニックをする家族連れ。幸せそうな人たちで少しだけ賑わっていた。クリスマスと言うだけあって、サンタの帽子を被った人たちとたくさんすれ違う。おしゃれに自転車に乗るお兄さんや、優しそうなおじいさん。これがアメリカのクリスマスなのかと嬉しい気持ちになる。

ビーチのある一角に人だかりが見える。これは、まさか僕が見たかった光景では?と胸が高まる。
そこにはスケートプールがあり、スケーターや観光客で賑わっていた。自分の目の前をすごいスピードで通り抜けていくスケーター達。飛んだり回ったり転んだり。風にたなびく長髪や、長い足が映えるボロボロのスキニージーンズ、全てが僕の思い描いていたスケートパークの像と一致していた。
その光景を「まあおそらく全部ろくなものではないだろう」と思いつつ、お構いなしに夢中でシャッターを切り続けた。

スケートプールの脇ではグラフィティを書いてるお兄さん。少し歩道のほうにでるとたくさんのパフォーマー。ビーチの向こう側では怪しげな匂いとともにヒッピーの人たちがジャムセッションをしながら踊っていた。みんな冬だって言うのに、Tシャツやタンクトップ。人によっては上裸ではしゃいでいるなんて!こっちはダウンを着ていたって肌寒いのに。

ベニスビーチからサンタモニカへと向かう。バスに乗ると陽気な黒人のおじいさんが話しかけてくる。

「今日はクリスマスだな、兄ちゃん」
「あ、はい(苦笑い)」
「※△◯+×※Z%$#...デンゼル・ワシントン!そうだろ!デンゼル・ワシントン!」
「...Y...YEAH」

まったく何のことかわからなかったけれど、、、デンゼル・ワシントンが出ているクリスマスの映画の話でもしていたのかな?、よくわからなかったけれど他の乗客の人もみんな笑っていたのでとりあえず一緒になって笑った。

その後、クリスマスで静かなサンタモニカのメインストリートを通り過ぎ(全店休み)、パシフィックパークへ。
※先日モーテルのテレビで偶然フォレスト・ガンプを見たのだけれど、このパシフィックパークも3秒くらいだけ出てくる

そんな折、おあつらえ向きにババガンプがあるのを見つける。まさに天からの啓示ではないかと思いさっそく入店する。エビの入った特大パスタとビールを頼む。気の利いた店員さんや周りの幸せそうな雰囲気に囲まれているとより嬉しい気持ちになる。

パシフィックパークはクリスマスを祝う人たちで賑わっていて、観覧車やメリーゴーランドに楽しげな親子の声がひびいいていた。キラキラと光りながら回ったり、上がったり下がったりする遊具をずっと眺めていた。

hiroshi ujiieday, journey