ESSAYS IN IDLENESS

 

 

A PRIDE PARADE

日本では馴染みがないのだけれどジェンダーマイノリティのためのパレード、それをプライド・パレードというらしい。ポートランド中のあちらこちらの通りや公園でパレードやイベントが開催されている。街中が虹色に染まり、奇抜な格好をした人たちがそこらじゅうに溢れている。みんな楽しそうで、平和そうで、何も恐れることがないような感じがする。こちらに来て、本当にジェンダーマイノリティの人たちが多いことに気づく。それはこっちに来てからできた自分の友だちであったり、街で出会った人であったりする。この街に流れる、他人との差異を許容する雰囲気というのは、人々に多くのことを気づかせるのだろう。そして多くの人を受け入れるのだろうと思う。新しくできた友達のうちの一人が言っていたのだけれど

「僕はテキサスの学校に通っていた頃は、自分がマイノリティであることを隠して生きていた。アジア人というだけで差別されるのに、マイノリティあることを知られたらどうなるかわからなかったから。それが僕がこの街にいる理由なんだ。」

彼の言っていることが身を持ってわかる。そうした人々が生きやすい雰囲気がこの街には漂っている。雰囲気という実態のない、目に見えない、捉えようもない、主観的な心の感受性の総体とでも言えそうな、この言葉こそがおそらく人にとっては大切なのだろうと思った。そういったことを考えながら公園を散歩していると、目の前に裸で自転車に乗った人が颯爽と手放し運転で通り過ぎていった。

hiroshi ujiieday