CENTER OF THE UNIVERSE

ポートランドの中心から少し外れた、ノースイースト地区の、さらに上のあたりにKennedy School McMenaminsというとても素晴らしい施設がある。
もともと小学校だった場所を改装し、近隣の住民や市内の人たちが利用できる施設に作り変えている。
「作り変える」と言うと何から何まで変えてしまったように聞こえてしまうかもしれないけれど、そうではない。
この施設の素晴らしさは、施設の雰囲気を全く壊さず、歴史を踏まえた上で作り直しているところにある。
昔の姿をそのままに、館内には映画館、シガーバー、レストラン、ブリュワリー、会議室、バーやジャグジーまでついている。

館内には縦長の窓から差し込む優しい光がこもって、カーペットや家具をささやかに照らしている。
レストランでは老夫婦が談笑しながら食事をとっている。プールでは子供たちがはしゃぎまわる明るい声が響く。映画館のドアの隙間から子供の歓声とBGMが微かに漏れている。
廊下を歩けば、壁にかけられた昔の生徒の写真や、誰が描いたのかわからない、下手だけど愛らしいアートワーク。改装前の昔の校舎の写真。生徒が使っていたであろう可愛らしい教材や答案用紙が内装として壁に飾られているのが見える。
会ったこともないアメリカの人達に対して勝手に郷愁を覚えながら、一つ一つの作品を見てゆく。
館内ですれ違う子どもたちや、優しく来客に語りかける係の人たちの顔もどこか懐かしく感じられる。
日本でも廃校を利用した施設などはあるし、訪れたこともある。しかし、歴史的資料としての側面が強くてどこか他人事の様に思ってしまうことがよくあった。

館内に漂うゆっくりとした時間の流れや、落ち着いた雰囲気、古さの感じられるかすかな匂いが自分の身体を通り抜けていく。壁のあしらいや手すり、様々な調度品に対して真摯な態度と愛情を持って向き合っていることを強く感じる。一度壊してしまえば、もう二度と元には戻らない。歴史や時間の流れが持つ、再現し得ない感覚を尊く思う気持ちこそがこの施設の根本にあるように思えた。

だから、空間のあらゆるところにストーリーが感じられたり。昔の人の声や、顔が頭のなかに浮かんでくるような気がするのだろう。まるで自分がここで過ごした人たちと重なったかのような気分になるといっても、言い過ぎじゃない。この施設を注意深く歩ければ、丁寧に編まれた人々の思いや歴史が頬をかすめる。Kennedy School McMenaminsはそんな空間だった。

せっかくなのでレストランで食事をしてみる。周りを見渡すと、家族連れや年配の夫婦、若い人までたくさんの人で賑わっている。日本のように頼んだものはすぐには出てこない。ただ、こうしてここにいる人の顔や楽しそうな様子を眺めているだけで時間はあっという間に過ぎてしまう。
そうしているうちに、聴いたことがある曲がBGMで流れてきた。間違いなく Built to SpillのCenter Of The Universeだった。100回は下らないほど聴いたこの曲を間違えるはずもなく、とっさに笑顔が出てしまう。
17年も前にリリースされたこの曲が、これだけ多くの年齢層や人びとのいる場所にお構いなく流れてくるこの場所が宇宙の中心でなくてどこだというのだろう。

There is a very wonderful facility called Kennedy School McMenamins, It is in the upper part of the NE district where it is a little off the center of Portland.

At first, there was an elementary school, and then, it was renovated as new (but old)  Kennedy School. The building includes  "a movie theater" "a cigar bar" "a restaurant" "a brewery" "conference rooms" "a bar" "a jacuzzi" and "a pool room ".
Now, it is used and loved by many neighbors, from kids to elders. 

The voices of laughing kids reflected in the dark, beautiful room and corridors
in the restaurant and elderly couple chatting.

I found some paintings of old students hung on the walls that no one knew who drew them, and pictures of this school before it was renovated.
They were not skillfull but they were adorable and funny. I loved them.

I saw each piece while feeling nostalgia for the American people who I have never met. 
I felt nostalgic as well as the children of Americans who passed each other and the faces of the people who talk gently to the visitors.
In Japan, there are many facilities that used old schools, and I have visited there, but I haven't felt such nostalgia.

When I saw all treatments, proofs, handrails, and various furniture items, I feel the strong will to keep good old things.
Rather than making everything  with the modern sensibility, looking back on the old days with the current sensitivity. 
Such efforts and thoughts of people are drifting in the air.

Everything in this place is beautiful harmonious, and is not too harsh.
The story could be felt from everywhere in this place. If you can walk carefully, the thoughts and history that was knitted by people will touch your face.
Kennedy School McMenamins seemed like that.

While eating at the restaurant, I heard the song "Center Of The Universe" played by Built to Spill who I love.
This song that was released 17 years ago flows into the place where there are so many age groups and people.
I wonder if it is not the center of the universe.

Who doesn't think they're at the center of the universe being it?